笑い
2018年08月19日
江戸の小咄
=江戸の笑い=
「お客さん、風呂が空いたよ。入りなさらんか?」
「おお、いただこう。」
「おらかいの?」
「いや、湯。」
「いやだー、お客さん、紛らわしいな。こっち、こっち。」
「ねえさん、風呂の後で、冷やで一杯もってきてくんな。」
「おらも冷え症だぞ。試してみるか?」
「まあ、熱燗にしてくれ。」
「ほら、ここだ、たこだ。」
「な、なんと、五右衛門風呂じゃねぇか。さぁ、湯加減は?」
「ちょっと、おきゃくさんね、下駄を履いて入んないでよ!」
「えっ、どうして?」
「昔、そういうお客さんがいて、風呂を壊して困っただわ。」
「はい、心付け。」
「その浮板を踏んではいるだわ。」
「そうか、足から。ぎゃー、熱い、熱い、女中さーん!」
「よんだか、おらを、今日はあいてるぞ。」
「いや、ごめん。水を、うめてくれ?」
「さぁ、これでどうだべ!」
「足から、そろりと?うわー、熱い!」
「お客さん、これでどうだっぺ!」
「まだ熱い、もっと。」
「こんなにうめて、後のお客さんが怒るぞ。」
「なんだ、俺の名を知らねぇのかい。」
「土左衛門かいの?」
「今な、江戸のはやりは、団十郎とこの江戸屋猫足。」
「猫足・・・、どこか、かゆいのかの???」
小話・笑話・小咄・17
ええッ?40度?お風呂の温度です。
jizousan at 22:56|Permalink│Comments(9)
2018年01月01日
江戸の小話
=江戸の小咄=
見るからにしわい隠居、吉方初詣に行く。
「これ、三吉、よそ見するな、速く歩け!」
などと怒鳴りながら、歩いて行く。非常にうるさい。
富岡の八幡様へ着くと、一つ大きな深呼吸。
そして賽銭を取り出そうとすると、あいにく4文銭ばかり。
「あーあ、一文銭がない、ない。」
「・・・、・・・?。」
「おい三吉、一文落ちてないか?その辺りを探せ!」
「・・・、・・・??。」
「全く仕方が無い、三吉、こちらへ来い。」
「もういいので、ご隠居。」
「もう清水の舞台から飛び降るぞ、本当に・・・」
「えっ、ご隠居、気をしっかり?」
「4文銭を投げるからな、お前も一生懸命おがめ!」
「隠居だけに、さすがシワしわい。ブツブツ・・・」
新年おめでとう御座います。
本年も宜しくお願いします。
小咄8
jizousan at 18:29|Permalink│Comments(7)
2017年12月25日
江戸の小話
=江戸の小咄=
「ああ、いく、いくーッ!」
と隣から、艶やかな 声がする。
「ええい!昼間っから、何すんじゃい。」
と怒鳴り、表へ出ると隣の戸が閉まっている。
少し戸を開け、のぞきながら、
「こら、こかこーら、まっ昼間に、お宅らは何すんじゃい?」
「はッはーッ、貧乏で仕事無く、夜の事を、今やってます。」
「それは、それは。お互い、底辺、いやてぇへんですな。」
と男は鼻血ブー。あわてて、家へ帰り、戸を閉める。
その真っ最中、今度は隣の亭主が覗いて、
「こら、こら、ペプシこーら、何をしてるのだ?昼間から。」
と問えば、男は息を荒げ、
「貧乏この上なく、二人で夜励むことを、一人でしてます。」
「お互い底辺、いやてぇへんだね・・」
「・・・」
本年は、いろいろお世話になりました。
来年も宜しくお願いします。
小咄7
jizousan at 11:39|Permalink│Comments(5)
2017年12月11日
江戸の小話
=江戸の小咄=
座頭同士が往来でぶつかった。
「この、大馬鹿者!てめえ、めくらか!」
「そ、その声は葛飾の寅市か!」
「いかにも。そのとらさんだが、おいちゃんは?」
「座頭七じゃ。」
「え、あの有名な座頭市、へぇ、命ばかりは・・・」
「しちじゃ、ななじゃ!」
「なんだ、はな垂れ七か?懐かしいな。」
「近頃はな、前を見ずに歩いてくる馬鹿が
非常に多いのでなあ!」。
「この杖を食らわしてやりたいぞ!」
「俺たちにとってはな・・」
「ぶつかんないとわかんねぇとわな、ワナワナ・・ 」
「まったくこの世は真っ暗だ!」
小咄6
jizousan at 17:24|Permalink│Comments(5)
2017年10月31日
江戸の笑い
=江戸の小咄=
「おとう、銭おくれ。」
「ちょっと、いそがしい、何だ!」
「あめ細工が来たんだ。」
「そのまま、外で遊んでろ、ほら3文。」
「おっとう、これ見ろ。キレイだろ!」
「なんだ?小鳥か?熊か?」
「うんにゃ、おら、あね様を買ったぞ!」
「何だと?おめぇ、女の子か?」
「・・・。」
「全く、おめぇも好きな奴だなぁ?」
「あい、あんたに似たのさ。」
「・・・。」
江戸小咄3
jizousan at 12:13|Permalink│Comments(9)