2018年01月01日
江戸の小話
=江戸の小咄=
見るからにしわい隠居、吉方初詣に行く。
「これ、三吉、よそ見するな、速く歩け!」
などと怒鳴りながら、歩いて行く。非常にうるさい。
富岡の八幡様へ着くと、一つ大きな深呼吸。
そして賽銭を取り出そうとすると、あいにく4文銭ばかり。
「あーあ、一文銭がない、ない。」
「・・・、・・・?。」
「おい三吉、一文落ちてないか?その辺りを探せ!」
「・・・、・・・??。」
「全く仕方が無い、三吉、こちらへ来い。」
「もういいので、ご隠居。」
「もう清水の舞台から飛び降るぞ、本当に・・・」
「えっ、ご隠居、気をしっかり?」
「4文銭を投げるからな、お前も一生懸命おがめ!」
「隠居だけに、さすがシワしわい。ブツブツ・・・」
新年おめでとう御座います。
本年も宜しくお願いします。
小咄8
2017年12月25日
江戸の小話
=江戸の小咄=
「ああ、いく、いくーッ!」
と隣から、艶やかな 声がする。
「ええい!昼間っから、何すんじゃい。」
と怒鳴り、表へ出ると隣の戸が閉まっている。
少し戸を開け、のぞきながら、
「こら、こかこーら、まっ昼間に、お宅らは何すんじゃい?」
「はッはーッ、貧乏で仕事無く、夜の事を、今やってます。」
「それは、それは。お互い、底辺、いやてぇへんですな。」
と男は鼻血ブー。あわてて、家へ帰り、戸を閉める。
その真っ最中、今度は隣の亭主が覗いて、
「こら、こら、ペプシこーら、何をしてるのだ?昼間から。」
と問えば、男は息を荒げ、
「貧乏この上なく、二人で夜励むことを、一人でしてます。」
「お互い底辺、いやてぇへんだね・・」
「・・・」
本年は、いろいろお世話になりました。
来年も宜しくお願いします。
小咄7